森谷賞受賞報告

投稿者: 黒川遼, 萩原彰文 / 投稿日: 2025年07月23日
2025年7月12日(土)のNR懇話会納涼会にて第2回・第3回森谷賞の発表があり、助教の黒川遼先生が第2回(2024年下半期)、当教室医局員で順天堂大学准教授の萩原彰文先生が第3回(2025年上半期)の森谷賞を受賞されました。

森谷賞とは

NR懇話会に2024年より新たに新設された「森谷賞」は、故・森谷聡男先生(ミシガン大学)(Neurographics誌の追悼記事ページ )が神経放射線学教育に捧げられました並々ならぬご努力と情熱を顕彰しようとするもので、半期ごとに教育講演のベスト講演が世話人の投票で決定されます。

黒川遼先生(助教)

夫婦で森谷聡男先生(右)と、ミシガン州アナーバーのレストラン「Gandy Dancer」にて

森谷聡男先生には私と妻の黒川真理子先生が2021年〜2023年まで米国ミシガン大学放射線科神経放射線領域に留学した際に、指導教官としてご指導いただきました。いつもたくさんの研究と発表のアイデアをお持ちで、フェロー、レジデント、留学生へのご指導をされながら、圧倒的に高い読影力で他科とのカンファレンスでも科内でも非常に信頼されておりました。私たち夫婦は公私ともに大変お世話になりました。重い病と闘いながら、亡くなる本当に直前まで、NR懇話会(ミシガンでは真夜中です)での出題、若手医師へのRSNA発表テーマの提案などのご指導を続けておられました。その神経放射線学と教育への情熱は誰にも真似できないと思います。

今回、「感情・行動異常の画像診断」として感情の異常や行動異常に関連した病態の画像診断をまとめた講演(2024年9月)で森谷賞をいただくことができ、大変光栄に存じます。投票くださった世話人の先生方、そして、私が神経放射線の素人であった頃から本当に熱心にご指導くださった森谷聡男先生に、心より感謝申し上げます。これからも頑張ります。

萩原彰文先生(順天堂大学准教授)

左:NR懇話会代表世話人の東邦大学佐倉病院放射線科 寺田一志先生、右:萩原彰文先生

私がこのたび光栄にも森谷賞を賜ることとなった講演は、「McDonald基準改訂と放射線科医として気をつけるべきこと」というタイトルで行ったものです。

この講演では、多発性硬化症の診断基準であるMcDonald基準の改訂に伴い、新たに加わることになった画像所見を中心に、撮像法や読影法において放射線科医として留意すべき点について整理し、実例を交えながらお話ししました。 特に、早期診断の精度が問われる疾患である多発性硬化症において、画像診断の果たす役割はきわめて大きく、改訂された基準を正しく理解し、現場で適切に活かすための具体的なアプローチを共有することを目指しました。講演後に放射線科の先生方からいただいたご質問やご意見から、臨床における関心の高さと課題の多さを改めて実感いたしました。 本講演が、少しでも日々の診療に携わる先生方のお役に立てたのであれば大変うれしく思います。今後も、故森谷聡男先生の遺志に沿い、放射線科医の教育に努めてまいりたいと存じます。選考にあたってくださった世話人の先生方に、心より御礼申し上げます。